▼1960年代中頃の湘南・江ノ島海岸▼ 日本の海水浴場の草分け、江ノ島海岸。当時のビーチをここに再現してみよう。“MG5”で髪を固めたアイビー野郎と、パーマ頭のお嬢サン風“みゆき族”の女の子が、エレキのビートに乗って闊歩する。ビーチを見れば、さすがにビキニは少なく、紺、赤、黒のモノトーン・ワンピースが多い。恥じらい気味のヒラヒラ水着もチラホラと。男性の長髪、女の子のミニスカートが出てくる直前の光景だ。 渚のスピーカーから聴こえてくるのは、ベンチャーズの「ダイアモンドヘッド」、アストロノウツの「太陽の彼方に」、フランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」、そしてビートルズ、ザ・ピーナッツ、加山雄三なのだ。たまに橋幸夫の「スイム!スイム!スイム!」の歌謡ポップスがかかることも。なにせ“ノッテケ、ノッテケ、ノッテケ、テケテケ”の「太陽の彼方に」は江ノ島に限らず“泳ぎ”にはピッタリの乗りだ。
レコードはドーナツ盤で(CDは当然まだない)、1枚300円。 映画の入場料金が一般で300円〜350円。 散髪代は映画料金とほぼ同じと言われていたが、パーマ代金は890円。 当時のベストセラー・タバコであったハイライトが1箱70円の時代だ。 (1ドル=360円、初任給が公務員で月18,000円くらいだった。)
さて、なぎさがバイトしている海の家に目を転じれば、いるわいるわ若人(わこうど)、家族連れなどでてんやわんや。客の割には店員が少なすぎるゾ…! 三大人気メニュー(ラーメン、カレー、かき氷)をのぞいて見ると…。 ●ラーメン=60円。…ふちの赤い極薄チャーシューと海苔、ナルト、シナチクが入ったしょうゆ味中華ソバだ。 ●カレーライス=100円。…ジャガイモがやけに目立ち、肉はほとんどなし。 ●かき氷(イチゴ、メロン、レモン)=20円。…地方によってシロップを下に入れるか、上からかけるかが違い、場合によっては喧嘩になることも。(ちなみにこの海の家では下、つまり美味しい部分は後にとっておく系だ) その他の定番メニューはどんなものか…。 ◆イカ焼き=35円。…丸焼きにして輪切り。しょうゆの味が染み込んだ湘南名物。 ◆ヤキソバ=45円。…具はモヤシとキャベツ、ニンジンなどで、肉は魚肉ソーセージを使っていた。(大体肉類は高価だったので、どこの店もケチケチしていた) ◆ラムネ=35円。…この頃はもう下火。すでに懐かしい飲み物。 ◆バヤリース・オレンジ=45円。…チンパンジーのTVCMで有名になり、オレンジ・ジュースと言えばみんなこれを飲みたがった。コーラも日本に入って来ていたが、1962年頃まではまだ一般 の海水浴客には馴染みが薄かった。 他に、焼きトウモロコシ=25円。おでん=35円。アイスキャンディ=15円。天丼=150円。親子丼=120円。サイダー=40円。ビール=120円等々…。これらの値段は普通 の店と同じだが、他の海の家ではどこも普通より50〜100%値上げして儲けていた。なぎさの叔母の海の家はかなり良心的な店なのだろう。 なぎさのバイト代は、お昼頃から3時頃までで、1日約200円、時給で約65円といったところ。500円はまだお札。1000円や1万円もまだ“聖徳太子”の肖像で、ありがた〜いお札だったんデス。 弁当持参の海水浴が一般的であり、海の家でラーメンやカレーを食べることが、ちょっぴり贅沢な楽しみだったりした。食に関しては今ほど舌の肥えていない時代なので、すごく美味しく感じたものだった。
▼参考サイト・リンク▼ ザ・ピーナッツに関心のある方は ▼ PEANUTS HOLIDAY ファンが運営するザ・ピーナッツについてのサイト。 ▼ ザ・ヒットパレード 和製ポップスのヒットパレードをamazonで。ピーナッツを中心に。
映画の背景や1960年代に関心のある方は… ▼ LOST60's 「シャボン玉ホリデー」の歌も聴けるお洒落なレトロサイト。 ▼ 60年代通信 ホロ苦くも懐かしい60年代を徹底検証する本格的サイト。