第51回ベルリン国際映画祭 キンダーフィルムフェスト
グランプリ |
NAGISA
小沼勝監督
【国際審査員】
Alexandra Schatz ドイツ
David Elfick オーストラリア
Catherine M. Kavanaugh アメリカ
Lennart Strom スウェーデン
Albert Nahan Kaminski イスラエル
【選 評】
1960年代のある海辺の町を舞台にした『NAGISA』は、大人になるということのさまざまな
面をある少女が考え、探求する姿を描いたものです。この美しい映像の作品には、手に
取るように感じさせてくれる場面がたくさんあり、それがわれわれをなぎさの世界に連れて
行きます。
その世界では、なぎさの感ずる太陽を感じ、なぎさの母親の作る食事を味わい、なぎさと
ともに彼女の12歳の夏の出来事を経験するのです。松田まどかは、妥協のない演技を
しており、若い俳優も年配の俳優も含め、とても良い脇役たちに支えられています。
素晴らしく感性の研ぎ澄まされた映画です。
沢山の忘れがたいシーンにユーモアや悲しさがあり、見終えた後も長く記憶に残ります。
小沼監督は、物語を語るために人為的操作とか、冗談や暴力を使った過剰な感情表現
とかを使うようなことはせず、大人になるという普遍的な話を語りつつ、我々に日本人の
生活様式や考え方を説明するため、細心の芸術的完璧性を追求しています。
小沼監督のフィルム編集の繊細なリズムは、ある種のバランスを作っていて、それがまた
われわれを映画に引き込んで行くのです。
どんな観点から見ても傑出した映画です。楽しめ、強く心に訴えかけ、美しく構成されて
いる――これ以上この賞にふさわしい作品はありません。
(独文和訳 岡田 眞樹)[ENGLISH]
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