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なぎさの家


成績が上がったら、
好きな物を買ってくれると言ってたのに…
体育だけだって、いいじゃない!! 
母さんの嘘つき!
今日からグレてやる!(-_-)#


【イントロダクション】

 1960年代の夏休み。観光地として海水浴場として、人々がこぞって繰り出していた江ノ島が舞台の物語である。地元の小学六年生・西宮なぎさは、四年前漁師の父を亡くし、今は居酒屋を営む母との二人暮らし。勝気で元気いっぱいの生意気盛り、湘南の陽射しを浴びて育った野性味と、ナイーブさをあわせ持つ、目がくらむような激しく魅惑的な年頃である。レコードプレーヤー欲しさに、せっせと海の家のアルバイトに励む毎日。そんな好奇心旺盛ななぎさの前に、東京から帰省したホテルの美少女・真美や、海辺で漂着物を収集するひ弱そうな少年・洋が現れたことから、彼女の心は揺れ動き始める。おまけに海の家の家出娘で従姉の麗子までが戻って来た。今年の夏はきっと何かが起こりそう!? だが運命は多感な少女に、全く予期せぬ出来事を用意していた…。
more≫ネタばれあり




 「龍RON」「六三四の剣」で知られる人気劇画家・村上もとかの原作「NAGISA(なぎさ)」(小学館ヤングサンデー連載)は、1990年にヤングサンデー・コミックスより刊行された青春劇画の珠玉編。物語は、江ノ島生まれのなぎさの小学六年生から美大受験浪人までの成長を描いた青春譜だが、映画では12歳の“少女”の部分にスポットを当てて描いている。
 大人にもなれずに戸惑い揺れ動く、思春期の少女が経験するひと夏の物語を演出するのは、日活出身のベテラン監督・小沼勝。脚本は、オリジナル・ビデオ「雀鬼」シリーズ等でも小沼監督とコンビを組んだ齊藤猛と、「真夏の地球」等の演出を手掛けた村上修が共同で担当。撮影は「ちぎれた愛の殺人」の田口晴久。照明は森田芳光、伊丹十三作品等を手掛けたベテラン矢部一男が担当。音楽は「皆月」の遠藤浩二。イメージ・ソングにザ・ピーナッツの「恋のバカンス」等を用い、魅惑の60'sミュージック風のサントラを堪能させてくれる。
 主演は、この映画が初出演となる新星・松田まどか。演技未経験ながら、そのルックス、情熱、感性ともになぎさ役にピタリとハマり、五百名のオーディション参加者の中から見事主役の座を獲得、まさにシンデレラ・アイドルの誕生である。製作は、「皆月」「くれないものがたり」のフィルム・シティ。
 歓びや苦しみと出会いながら、大人への道の第一歩を踏み出す少年少女たち。まだ受験戦争に本格的に巻き込まれることもなく、ファミコンも携帯電話もマニュアル雑誌もない昭和の十代の少女の最も多感な思春期。この映画は、その人生で最も熱くセツない「ひと夏」を、湘南の陽射しと共に哀感を込めて、黄金の60's風ミュージックをバックに綴る珠玉のエンターテインメントである。

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